自治体改善マネジメント研究会代表にしてスコラ・コンサルトの行政経営デザイナーの元吉さん取り組み「地方を元気にする 自治体経営を変える改善運動」に共感します。

 私は地域づくりのコンサルタントを生業にしてから、はや三十数年が経ちましたが、入社したての頃、某市役所の課長が市長のことを揶揄した言葉が忘れられません。
「首長は一時、公務員は永遠」

 言わずもがなですが、少し我慢していれば何れ任期が終わるので、適当にやっておけばよい。
近年はさすがにこのような方は、もうほとんどいなくなったとは思いますが、けっこうショックでしたし、行政との仕事の難しさを感じました。

 以来、仕事柄から行政経営は多く読んできましたが、本書はこれまで解き明かせなかった、自治体経営での改善運動が、なぜ盛り上がったり、何が障害になっているのか、という点について、2年間の自治体職員との実践活動を通して、元吉さんらしい、穏やかの中にも納得感のある、考察がなされていると思いました。

 この手の書の多くは、教科書的な改善策か、特定の個人の活躍に焦点を当てた成功事例かによるのですが、本書はその中間のアプローチがされていて、意欲ある行政マンにとっては、想像力をかきたてる実践例が示されていると思います。

 また、長年の課題であった、行政マンが自発的に改善に取り組み、意欲ある仲間をつくるヒントが、2年間の取り組みの検証や、先例事例の中から丁寧に掘りおこされています。

 さらには、スコラ・コンサルトが培ってきた企業風土改革のノウハウである型やフォーマットが惜しみなく示されており、行政マンのみならず地域づくりコンサルタントも活用可能な内容だと思います。敬愛する元吉さんへの応援メッセージなので、褒め過ぎの感はありますが、それぞれの行政に応じた改善のメソッドを確立するうえで、想像力をかきたて、ミリョク的で示唆に富んだ本だと思います。