NPO法人 自治体改善マネジメント研究会

書籍読者感想

2022.11.01

自治体を進化させる 公務員の新改善力

【読者投稿004】九州共立大学 黒田 伸太郎さん

本書全体を通じて元吉氏が論じる「進化力」の意味に頷きつつ、はたして自分自身はどうだったのかと考えさせられる内容でした。

キャリアという言葉は最近よく耳にしますが、仕事を振り返りながら自らの役割の問い直しを何度も重ねることでしか「進化力」は身につかないのだと感じます。

なかでも、本書の第7章にある「自分と組織を進化」させるという視点は目から鱗でした。自分自身の越境やキャリア形成の過程を再考した時、自分のことを優先し、組織への貢献は二の次ではなかったかと自戒の念に苛まされます。

今、多くの自治体職員は、増え続ける仕事に追われながら自らを進化させる自己研鑽を続ける一方で、組織への貢献という意識に無自覚になっているのかもしれません。様々な地域や多様な組織に出ていき、そこで得た知識をどのように働く現場である組織に還元できるかは、自身の進化ととももに、越境する以上常に問い続けなければならないことなのでしょう。その時、獲得した情報やネットワークをいかに上手く「組み合わせ」られるのかが解を導く鍵だという氏の指摘は、まさに我が意を得たりという感覚でした。

しかし、”読むは易し、行うは難し”です。願わくば、私も含めて、少なくない自治体職員が本書にかかげられている「進化力」を身に着け、少しずつ変革を求めて行動できるようになれば、「新改善力」も現実のものとなるのでしょう。

私は自治体職員を辞し、今は新天地で働いています。辞めて初めて自治体職員がいかに地域の結節点になっていたかを実感しています。職員がいなければ地域の課題解決は前進しないと言えば言い過ぎかもしれません。もちろん、地域の主人公は住民であることは論を俟ちませんが、同時に、地域に一番近い自治体職員がその役割の意味を十分に理解し、常に進化していく必要があることは、本書が指摘するとおりです。

進化を求める(求められる)のは大変ですが、3歩進んで2歩下がるように、少しづつでもいいので歩みを重ねていくことが重要であること、そして、本書から学んだ「進化力」という言葉を胸に、これからも研鑽を続けていきたいと思います。

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