少子高齢化が進む中にあって、地方行政の効率化とそれを支える地方自治体の 活性化は益々重要になっている。しかし、「お役所を変える」のはそう簡単ではない。
長く公共性の高い事業を行う企業で働いてきた私は、公共サービスに携わっているという高邁な使命感が、市民感覚から遊離する遠因になっていたり、また国の方針通りやっていれば最後は国が面倒みてくれるだろうという親方日の丸的潜在意識が改革を困難にしていることを感じてきた。
本書は、そういう難しい構造のなかで、どのように改善に取り組んでいけばよいのかを、実際に取り組んでいる事例紹介を交えつつ、たいへん実践的なノウハウが得られるように解説している良書である。
本書を読んで、改革と改善の違いについても、改めて考えさせられた。
大胆な改革というのは、ハード的な施策が中心になるが、ハード的改革は、メンテナンスをしっかりやって行かないと本当の意味で定着しない。
そう考えてみると、改革を定着させるには、改善がしっかりやれる組織風土になっていることは、ある意味必須要件であるとも言える。
本書は、国政、地方行政のみならず、公共性の強い事業に携わっている方々にもお勧めしたい「使える本」である。
合同会社経営合宿研究所 代表社員 森田 元
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